イスラム主義とネオコン

NHKBS「“テロとの戦い”の真相」を見た。

対テロ戦争で激突する米国のネオコンと中東のイスラム過激派。2つの政治集団は同じ1950年代に誕生し、人々の心に恐怖を植え附けて権力を握るという戦略も共通している。両者の歴史をたどることで現在の国際政治の核心に迫ろうとするイギリスBBCの3回シリーズ。ゴルバチョフソ連大統領やネオコンのリーダーの一人リチャード・パール、さらにビン・ラディンをよく知るイスラム武装勢力のリーダーの証言をもとに、現在の「対テロ戦争」は2つのグループが生み出した「恐怖の幻想」の産物ではないかと問いかける。(NHK

50年代、アメリカの自由主義がもたらしたものは個々人が自由気ままな快楽に溺れ道徳が頽廃し、政治が目的を失った状態である、と憂えた二人の人物がいた。*1彼らはそれぞれイスラム主義、ネオコン思想の理論的な始祖である。
番組ではこの二人の理論の理想主義ぶりと戦略的な共通性を取り上げ、そこからイスラム主義とネオコンが政治とどう関わってきたか、その変遷を解き明かしていく。この視点がものすごく分かり易く面白かった。

また、ブッシュやブレアが掲げた「テロとの戦い−最悪の事態に備える」という政策が「地球温暖化」などで使われた「予測の理論」を利用していると指摘していたことも印象的。*2「確かではないことにたいして手を打つ」ことが「最悪の事態」という恐怖の神話を作り出し、人権侵害をも引き起こしていく。

番組は、ネオコンイスラム主義が、政治的な目標が空白の時にあって、人々に理想や目的を指し示し、政治家がそれを利用していくという構図を描き出したのだった。

すんごいドキュメンタリー!

*1:名前を忘れた。

*2:http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4842912286/qid1118025867/sr1-3/refsr_1_10_3/249-5382672-0885919という本が「予測の理論」を徹底的に問い直している。