拉致被害者の強制帰国

  1. ここを読む。

北朝鮮問題をめぐる日本のメディアや世論はひどい」と書いてある。「日本が拉致被害者の「強制帰国」を決めれば、何もかも暗礁に乗り上げることははなからわかっていた」そうだ。なるほど。でもだからどうすればいいのか(良かったのか)が、ちっとも見えないのではたと悩む。

おじさんの漁船に乗っていて北につかまった13歳の少年のことを思い出す。*1彼は3.40歳のとき突然北朝鮮が公表しその所在が明らかになった人で、日本政府や母親の帰ろうというコトバに向かって絶対に「帰らない、帰りたくない」と答えたのだ。

北朝鮮が「5人の拉致被害者を帰せ!」と言ったとき、あの13歳の少年と同じパターンのつもりでいるのだと思ったよ。5人が(心の底から)「北朝鮮に帰りたい」と答えるパターンだ。

つまり北朝鮮としては5人の被害者が口を揃えて「北朝鮮は素晴らしい。日本のみなさんも遊びに来てくださいね。ごめんなさい、わたしたちは帰ります。」と言うことで拉致問題は片が付いたことにする腹づもりであり、それを日本政府は重々知っていたわけしょ。

  1. 想像した日本政府内の会話

「とっとと5人を帰して国交正常化交渉にはいりまひょ。もし帰さなければたいへんなことになります。」
「お前ねえ、しかし、北のやり方って腹立つなあ。俺にだって血も涙もあるぞ。」
「こんなに拉致被害者が若くして死んでるって公表しちまって世論はうまく収まらないですね。拉致家族の動きも積極的です。」
「5人を北に帰して国交正常化してもこれまでの不甲斐ない日本政府のやり方そのもの、なにも変わりはないと非難されるのがオチですね。いっそのこと世論にのって、北朝鮮を悪者にしたほうがイイんじゃないですか?」
「ううむ、なにしろ、北朝鮮アメリカのソフト路線を裏切り続けていたわけだし。国交正常化も名ばかりになるかもしれないですねえ。」
「いずれにしろ、北の拉致被害者のもとに日本からたまに会いに行ける、くらいのことでは家族も世論も納得しないでしょうねえ。」
「そうですねえ、5人を帰さないことの結果責任は、世論にもメディアにもありということになりますなあ。」

*1:彼の名前を忘れてしまいました。