「夏の夜の夢」演出、柄本明

東京乾電池の野外劇。原作は「真夏の夜の夢」。
この野外劇が行われた公園はウチから徒歩20分。ほんとびっくり。地形をいかした舞台。おっきな桜の木(すももの木かも)と、後ろのほうに暗い丘。丘の上には星が瞬いていた。客席の前は小川。照明に浮かび上がった自然の舞台はほんとうに美しかった。魅力的な役者さんもいたし、英語の台詞を交ぜた話し方は面白ったし、格調がないとはいえない、雰囲気があるしっかりした劇だったんだけど、でもやっぱ、ドタバタ喜劇だったよな、と思う。それでも、というか、あたしは感動したのだった。
シェークスピアのお話の骨組みのすごさ―演出家の勝利というべきか―お話と野外の舞台があまりにもぴったりしていて、林の中で繰り広げられる中世の恋人同士や妖精たちの騒ぎは、夏の夜の夢そのもの。あたしはまるで、劇中で人間たちの宴会をのぞ見にしていた妖精たちのような気分で、隠れて悪戯でもしているようにずっとワクワクしていた。シェーピクスピアの時代、人が芝居を見ているときの身体感覚というのか視線は「妖精の視線」に似ていたんじゃないかなあ、と、思ったよ。
夏休みが終わった。なごりおしいよ。