「不安型ナショナリズムの時代」高原基彰

不安型ナショナリズムの時代―日韓中のネット世代が憎みあう本当の理由 (新書y)風邪を引いた。頭がぼーっとして重い。

なんなのかな、なんか違和感が残る本。
著者がいう「下層労働者」、あたしは現在、そうだし(スーパーマーケット勤務)、過去でも、たとえ正社員であったとしてもあたしは下層労働者だった。著者がいうところの「社会の流動化」以前、日本社会が「総中流化」の夢のなかにいたときでさえ、女性の多くが「下層労働者」だった。別に、ニートやフリーターの出現を待つまでもなく。
もちろんこのあたしの感想は著者の論点とはズレるわけだし、著者もそんなことはわかりきっていらっしゃるわけだけど。
あと、もうひとつ気になったことは、彼は「豊かさ」というものをどーとらえているのだろう?
江藤淳がいうように、戦後、人々は「リッチになりたい」ということしか考えていなかったのかもしれない。しかし、著者もあーだこーだいうわりにはそこから出発しているようで、それ以外のものは単に消費に踊らされている、ってことで、「自己責任」も「差異」も社会的な大意(仕組み)を掴み損なうようにしか機能してない、ってことらしい。
だけど、筋金ね入りの下層労働者としては、ことはそんなに簡単にわりきれんぞ、とおもう。
倫理(や理念)という補助線はひつようなのだ。
会社主義がある意味で倫理的であったこと、それが、企業の強みであったこと、あたしは今現在の下層労働者をみて、つくづく、そーおもうんだよ。(会社主義がイイとかいうつもりはないけど)。