父が肺炎で入院した。
「じゃあ、帰るね。また明日くるから」とあたしが言うと、父は「え、いっしょに帰るよ」と言った。父はもうそんなに長くは生きられないようだ、とおもう。彼は(脳梗塞を患ってから)痴呆がはじまっていて、そのせいもあるのかもしれないが、父を支えていた殻*1が崩れ、その寄る辺ない心持ちがひしひしと伝わってくる。父は不幸なんだ・・。

*1:わたしは非常にびっくりしたのだが、父にとっては「仕事を<すること>」がすべてであった。脳梗塞で仕事が出来なくなっても、父は趣味の囲碁とか(笛とかはちょっとむつかしくなっていたけど)、楽しめばよいじゃん、とおもっていたあたしには信じられないことであった。「鬱」ということばでかたづくのかもしれないが、なんていうか、父を作っていた殻のようなものが「仕事を<すること>」であった、ということにあたしは衝撃をうける。