女は度胸



あたしはこの職場に入って、とっっっっても不思議な人にいろいろ出会ったけど、例の”あの人”はその中でも3本の指にはいる。

あたしは、どっちかってと、「はったり」が好きだ。「はったり」はモノを産み出す力に満ちている。言われる方も言う方も取り敢えずは賭けなくちゃいけない。
はったりを言うときは、「なんとかなる、ある程度は絶対出来る」というような可能性に賭ける度胸と、偽を真にしようとするパワーがあるはずで、そういうニュアンスが「はったり」という言葉にはなくてはならないはずだと、あたしは勝手に思っている(語源とか全然知らないし)。

ところが例の”あの人”は「はったり」が嘘と化すことに何の焦りもなく、努力をして何とかカバーしようという気配も一切ない。葛藤が感じられない。

ほんとに不思議だ。

こっからは推理だけど、”あの人”は、あるとき、何でも出来ます!って言えば、上手くいくことに気がついたのではないか。そうして雇った側は諦めて”あの人”に出来ることだけやらしておくか、”あの人”が自滅するのを黙って見てきたんだろう。とおもう。だから”あの人”は数々のはったりを言っているのではなく、数々の「はったりもどき」は、仕事関係を上手く収めるための「手管」であって、”あの人”にとっては「はったり」でも「嘘」でも「言い逃れ」ですらないのかもしれない。

・・ただ、この推理の穴は”あの人”の度胸である。
自分の仕事ぶりに何の躊躇も不安も持たないんだから・・。*1

ほんとに不思議な人だ。

*1:別の例えで言えば、出来もしないのに、先生やれます、授業やります、と言ってなんの準備もせず、不安さえおぼえず、ニコニコ(ニヤニヤ)しているみたいなことなんだよ。絶句するっしょ。