怪談

5・6歳の頃だったろうか、わたしはよく昆虫を捕まえて遊んだ。バッタやカマキリは草むらにいくらでもいた。カブトムシと鈴虫もつかまえたことがあって虫かごに入れて飼ってみたが、すぐ死んでしまった。
カマキリは動作が鈍くてしゃがんで見つめていると鋏をふりかざして威嚇するのだけど、そのときに簡単につかまえることができる。わたしは昆虫の艶々した茶色の体が好きであった。指でつまんで空にかざすと、長い脚が不器用そうにもがく。最初に犠牲になったのはカマキリで、前脚を一本、わたしにもがれた。わたしは虫の前脚や後脚をちぎって遊んだ。全部、脚をもがれると虫は放しても動けないので、踏みつぶして殺した。
という話しを、デザートを食べている家族にしたところ、皆、酷く引いた。「うぁぁぁぁぁぁ」「可哀相じゃない!」とかゆうのでわたしは教えてやった。「虫はね、痛くないんだって。」「一緒に遊んでた男の子がそう言ってたのよ、後ね、ヘビもね・・」「あら、寒いの?」