階級社会の人生設計

NHK「税金|日本のこれから」を見ながら考える。

要するに、南北の格差を縮めるグローバリゼーションは、すでに自明であり、そして今、先進各国は、国内に南北問題を抱えるに至っている。浅田彰氏が、昔、言っていたことだな、と思う。

グローバルな競争に晒される企業は安い人件費や優遇税制などを求めて国外に工場を移転し、国内では、派遣やパートを多用する人件費の切り詰は常態化し、経営戦略としてすでに組み込まれている。こうして露わになってきた格差や貧困、生活の不安定さ、といったものに加えて、少子高齢化が進むと言われている。つまり、国の収入が減って、支出が増える、ということである。

こうした事態に対して政府が打ってきた手は、法人税の引き下げ、所得に対する累進課税の引き下げ(金持ち優遇策らしい)、消費税の導入(そして引き上げ)、非正規雇用規制緩和(及びその見直しが計られているらしい)、介護保険の導入などなどである。

・・・わたしは、日本の現状をこのように理解している。
そうして番組の問いかけは、足りない社会保障費を消費税を10%にすることで補う、という案に賛成か反対か、というもの。スタジオの一般人反対派は、高額所得者や法人税の引き上げ、遺産の贈与税の引き上げなどがよいという。
これを受けて、学者たちの話しが面白かった。経済成長を促し、景気を良くし、ひいては国の収入を増やし、雇用促進(たぶん)、という考え方の学者は、各種の所得税引き上げは、インセンティヴを奪い、グローバルな競争力を低下させ、結果、収入ダウンに繋がる、という。というようなことをおっしゃていたと思う。

成長のインセンティブってお話がよくわからないなあ。わたしは自発的なモチベーションで動く方だからなあ。おまけに年功序列型の時代を知っている身としては、インセンティブ、ほんとか?と思ってしまう。

で、消費税は、家計にしめる消費の割合から考えると、不公平である、というはなし。なるほど、とはおもうけど、わたしは、消費税引き上げもやむをえないなあ、派。たぶんこれは、スタジオの感情的な対立が影響している。

この対立の根っこは、格差拡大に対する危機感か、日本が貧乏国に転落することへの危機感か、のどちらかに軸足を置いているか、のように見えた。番組は最後に、「税金が高くても社会保障が充実している国がいいか」、「税金が安くて社会保障の大部分、医療や年金など、自己責任でやる国がいいか?」というような、「平等か自由か」みたいな話しに落とし込んだのだけど、そういうのんきな事態なのかなあ、と思う。だって、学者がいうように「日本が貧乏国に転落する」かもしれないのだとしたら、収入が少なくなった国で、充実した社会保障もへったくれもないわけだし、最低限の社会保障を維持しつつ、自由路線をとるしかないわけでしょう?格差、つまり階級社会のなかで、どのようにわたしは安定して生きていけるか?ってことかなあ。
機会の平等ってことから、教育費を大学までただにして、代わりに年金を自己責任にするってのはどうだろう・・?