民主主義とイスラム

フランスでは「公共の場でイスラム系住民がスカーフを被ってはいけない」ことになった。TVなどを見ていると、なるほど、大変な問題らしい。
フランスのイスラム系住民は10%くらい。高校でトップクラスの成績を取るイスラム系の女の子―彼女はスカーフを被ることは抑圧的なことではなく自分で決めたことだと主張する―が校長先生との進路面談で「わたしは医者になります。イスラム系女性のための医者になりたいんです。イスラム系女性は男性の医者に肌を見せたり出来ませんので。」というのだが、彼女の市民としての生活を支配しているのは宗教の掟―女性は男性の前でみだりに肌や髪を露出してはいけない―であり、そうした彼女の市民生活は守られるはずだが、フランス政府は学校という公的な場でのスカーフ着用を禁止した。民主的、世俗主義的な自由を「政教分離」を掲げて確固たるものにしてきたフランスは、恐れているのだろうか?
フランスは政治が宗教によって脅かされることを拒絶する。EUに加盟するらしいトルコでは「政教分離」が揺らいでいるという。トルコの前首相が関心を寄せたイランは宗教の法/掟によって政治、社会生活が営まれる国らしい。フランスから自由の女神を贈られたアメリカは、「政教分離に抵触」しているんじゃないかというはなしも見聞きする。「政教分離」は各国でも温度差があるのだろう。
世俗主義的な自由を守ろうとすることがイスラム系女子の自由を侵害する。この不思議とは、つまり、民主主義の中の自由主義という異物がごつごつしだすのであり、どのような合理的な解決も問題を隠蔽していただけかもしれない。
民主主義に破れた宗教は自由のなかに落とし込められた。←こういう理解は間違いかい?
いはあ・・世界ってたいへんだわ。