わたしは彼女の問いに答えなければならなかった

「ねえ、子供を持つってどんなふうに感じるの?」「こどものかけがえのなさみたいなものって、ほらさ、ペットにいだくものとおなじだよ。」背を真っ直ぐにし、彼女は意地悪そうな目をして「じゃあ、ちょうだい。あなたのTかRをちょうだい。あなたには2人もいるんだから一人ちょうだい。」と言った。
彼女は子どもってものがペット程度のものならあたしのガキンチョのTかRのどちらかをわけてくれ、というのだ。だけど「子供ってどんなもの?」と聞かれれば、あたしはTやRがあんなことしてこんなこともして目に入れても痛くないくらい可愛いとか素晴らしいんだとか、それを話すしかない。TやRがあたしにとってかけがえのない素晴らしいものだから、「子供は素晴らしいものなのよ!」とわたしは一般化して言うことが出来るのだろうか?TやRという個別性をそぎ落とすようにして子供という一般的なものを誠実にイメージすれば、「こどもとペットは似ている−それらに抱くだろうかけがえのなさや愛おしさといった感情は共通する」と、思える。
・・ん?え?あたしのはなしなんかへんだ・・「一般化できないこと」と「個別なものと一般的なものに対する感情?まざってないかい?」。あたしはもっすごく混乱して悩みだし、彼女はやれやれと首を振り、ビールを取りに行った。


▼あたしは「個別的なことを一般化することについて疑問を持ち」、にもかかわらず、「個別なものにまつわる感情を普遍的なものとして前提している」のだ・・・。(今、気がついた。笑)