「日本の、これから」(NHK)

「知っていますか 若者たちのこと*1」という討論番組をみた。義家弘介氏は最後にこう言った。「<なぜ>を問うより、だから、今がチャンスなんだ、と自分は思う」と。泉谷しげるも「家族は神じゃなんだからさぁ」とさらっと言ったりしてかっこよかった。

しかし印象的だったのは地方に暮らす美容師をめざす女性。彼女は高校を出てスーパーに就職。美容師学校へ行くための資金、100万円がたまったところで職を失う。親を養わねばならなかったのかなんなのかよくわからなかったのだけど、ともかく彼女はじぶんの夢である美容師になるための資金がないということらしかった。事情はよくわからんのだけど他にやりようがなかったのかと思いながら見ていたら、誰かが「これは階層問題だ」と発言していた・・。

あたしの暮らす地方では、この景気低迷以来、会社が潰れたり、リストラされたりなんてことは日常茶飯で、それでも中年女性たちは、スーパーの可愛い制服に身をつつみレジを打ったり、裏方の仕事をしたり清掃員の仕事をしたり、なんやかんやと糊代を稼ぎながら、それでも家族が協力すればなんとかなっていくわけで、それなりに満足もあり、小旅行なんぞもして、欲しいものも買え*2、けれどオトコタチのほうは深刻で自殺するものもゴロゴロいるが、それなりに平穏に生きている。

そお、中年、壮年(つまり年寄りであるあたしたちは)なんとかなっていってるのだと、改めて思う。しわ寄せは若者にいってるのかもしれない、と思う。だって、美容師になる夢をかなえられない状況というのはショックだ。

あたしは、こうした景気低迷について、TVなぞを通して次のように理解している。経済構造がグローバリズムに席巻されることにより、工場がより低賃金の他国に移り、日本はサービス業や情報産業といったものへの転換しなければならなくなった。それは自由市場主義であり、規制緩和をし、創造性や意気を盛んにして新しい経済の動きを助け、そうして下層にも雫が垂れるのを待つのだ、と。
これに反対するのならば、それはEUのようなアジア経済のブロック圏をこしらえざるをえず、つまり、日本一国の保護主義的経済政策では立ちゆかなくなっているから・・。もちろんこの構想には先の大戦を導いた西田流アジア主義?みたいな亡霊が貼り付いているわけで、ここを刷新する思想も育てて行かなくてはならないだろう。5.6年くらい前まであたしはこの構想もアリだな、と思っていたけど、昨今の状況では「ありえねえー!」と思う。

TVの討論番組ではイギリスのニート対策を紹介していた。どうも世界中の先進国が似たような状況らしい。年寄りであるあたしは今まで「貧乏なんて怖くない!希望のもてる仕組みを!」と思ってきたが、甘いかもしれないと思う。

※ここ*3を読んで、この討論番組を思い出したわけ。

*1:http://www.nhk.or.jp/omoban/k/1022_4.html

*2:これはもちろん、『下妻物語』でやってたような「でぱーと?ジャスコだべえー!」という世界である

*3:http://d.hatena.ne.jp/kenkido/20051029