「パリ、ジュテーム」「クィーン」「東京タワー」/溝口と小津
三作ともよかった。
面白そうなDVDが見あたらないときあたしは名作古典を借りる。でもって、溝口健二などのなんとなく手が伸びていなかった作品を見た。つくづく思うのは、最初に見たのが「浪華悲歌」や「雨月物語」であってよかった、と。でなかったら溝口監督作品に興味を持たなかったのじゃないかと思う。
田中絹代は品格のある声と話し方をもっていて、溝口監督はそれにひざまずいている、、かんじ。「クィーン」ではその品格を理解するのはブレア首相である。しかし、現在、どうなんかなあ、ああした品格はもう必要とされていないんかなあ。
あたしは自分の父親が病気になってそして死んでしまったのだけど、思いがけず、あたしは「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」のボクのように(あたしは父親だけど)、その病気の父に強く執着するものがあったわけで、ほんとにおもいがけなかった。小津安二郎は原節子と笠智衆の近親相姦的な親子の愛情を描いて、見ている方にとってはザワザワと心が騒ぐのだけどすんでのところでおさめられるような描き方をしていて、まあ、思うに、親子の「執着」などというものも、切り開きかたによっては物騒なものだ・・。と、、おさめとこ。