「警官の血」(4)

吉岡秀隆さんは「日々、歯をくいしばって頑張って生きているお父さんに見ていただきたい」と完成会見のとき言っている。

確かに、エリート出身である早瀬は警察組織の中を上手く立ち回り、権力を持ち、犯罪者でありながら長寿を全うする。しかし、民雄は権力(早瀬)に翻弄され、こづき回されながらも、父から受け継いだ誇りを胸に歯を食いしばって生きたのだ。

吉岡さんは「誰も民雄のこと、よくやったって誉めないんですよね」と笑っておられたけど、確かに、民雄はよくやったのだ。とあたしはおもうよ。

民雄をおもうと、いろいろ妄想もわくし、ドラマの細かいところも気になってしまう。

たとえば、民雄の妻になった女性を、もっとこう、(看護婦であったので民雄の病気による攻撃性についてよくわかっていたにしても)、鈍重で辛抱強くどっか図太さも合わせ持っている田舎娘、のような感じで描いていれば、民雄がはじめて恋した(生涯、愛したであろう)女子学生、の一件が、そうすんと、もう、ギリシャ悲劇の不条理な罪と罰の世界だよなあ、とか妄想。

しかし、民雄が子どもたちに柔道を教えたりしているんだって描写があったりして、、彼は、安らぎを得て幸せに暮らせていた時期があったんだ、ということだけが、民雄ファンとしての唯一の救い・・。あぁ。