家族/イデオロギー

シルヴィア [DVD]

子どもが産まれる限り家族はなくならない、とあたしは思うな。子どもの保護者が親であろうと親戚であろうと他人であろうと、一人以上の保護者と子どもはやはり家族というユニットを作る。そのとき、家族はどのようなイデオロギーで取り囲まれるのか?
ネタバレ注意!
「シルヴィア」という映画は、詩人シルヴィア・プラスと夫テッド・ヒューズのよくある破局の物語なのだけど、何故、シルヴィアが自殺にまで至るのか、深くは描かれない。ただ、シルヴィアはこう言うのだ。「あたしの中にはあなたの形をした空白があり、あなたにはあたしの形をした空白があるのよ」と。フロイトはこのような近代家族の心的構造をエディプス・コンプレックスとして説明したのではないかしらん?近代家族は「あるはずのないもの」を永遠に追い求める・・。シルヴィアはなにを終わらせようとしたのだろう?そして彼女は最後に自分で自分にけりをつけてしまうだけの力は持っていたのだ。

「ステップフォード・ワイフ」の夫たちは、従順な奴隷妻を望んでいた。その理想像は彼らにとって神の法にも等しい。だから彼らは、妻たちを恐ろしい方法で矯正した。

母、妻、そうした言葉を理解したときあたしの無意識?は「社会の夢(イデオロギー)」を取り込み、善き母、善き妻のイメージを蓄える。イデオロギーは不安や葛藤のたびに呼び出され物語られ、再生されて、あたしを規定する。

これらの映画は古い時代を背景にしている。いまでは家族に対するこだわりも薄れている。いま、なにが家族を掴まえつつあるのか・・?少なくともあたしは、理想像(幻想)に押しつぶされたり殺されたりなぞしたくはない。