ああ、国民国家の馬鹿らしさ

タッチ・オブ・スパイス DTSスペシャル・エディション [DVD]やさしい嘘 デラックス版 [DVD]

「タッチ・オブ・スパイス」はギリシャ映画らしい。この物語の背景はキプロス島をめぐるトルコとギリシャの紛争。「やさしい嘘」は、民主化したものの経済の建て直しが上手くいってないグルジア。こんな貧しい東欧の国から志を持った人が西欧先進国へ不法に働きに出ている状況が背景。二つともなんだか落ちこんじまう映画だった。ひとことで言っちゃえば「ああ、国民国家の馬鹿らしさ」。

キプロス島の紛争について何も知らないけど、民族や文化に拘泥せずにはおれない国民感情というのか、そうしたものが引き金になっていたのかもしれない。そうした民族意識は過去に呪縛されていたのか未来への不安に踊らされたのかどっちだったんだろう。グルジアは未来への理想に凝り固まった沈滞から抜け出しても、経済も国民意識も空回り。

この前からcharis氏の批評−「小林よしのり靖国論」の−を熱心に読んでいるのだけど、charis氏がおっしゃる「いま」を生きるということは難しい。あたしはむかし「世界国家」のようなものを夢見たことがあり、そういう未来に対する漠然とした拘りを前提に考えているのだと思う。そういうてんで見れば、小林氏が思い描いているかもしれない未来は、亜細亜主義てき?ある意味、社会民主主義的で、エコなどとも結びついた懐かしい想像の共同体?