『日本とフランス 二つの民主主義』(薬師院仁志)(3)

メモ。「文化的多様性と同化主義」のはなし。
2005年の33回ユネスコ総会で「文化的多様性に関する協定」を最も強く支持したのはフランスだった。
採択に反対したのはアメリカとイスラエルだったということだ。フランスという国は実に筋金入りの平等主義から、「(このアメリカ型の?)文化的進歩の自由競争に反対する」わけなのだ。
「文化を”進歩するもの”だと考えてしまうと、必然的に、世界には”すでに進んだ文化”と”いまだ遅れている文化”が存在することになる。」。フランスにとって(くどいけどw、平等主義としての立場から)、「人類が古くからの歴史の中で築き上げてきた多様な文化遺産をどれも自由競争で淘汰されるべきではない」と考えるのだ。

アメリカのネオコンが理想主義者であるなら、当然、「文化的進歩の自由競争」という価値観に結びつくだろうし(イラク攻撃のときもこれがそこはかとなく匂っていたよーな気があたしはする)、しかし、「文化的進歩の自由競争に反対する」ということに凝り固まってしまうと、これも又問題がでてくる。「文化」に対するいずれの政治的価値観も、文化破壊や文化的創造性を潰しかねないところがある。

世の中って、タイヘンダ。ただ、日本は社民系の政党にしっかりしてもらってバランスを作らなければいけないんだ、ということは重々、理解する。