『目白雑録2』金井美恵子

なんか、 キラキラッとしてた気取りのようなもの・・が抜けてきた分、おもしろくないというか・・いや、面白かったんだけどね。いや、すんごい批評家だとおもう。 ・

『搾取される若者たち―バイク便ライダーは見た!』(阿部真大)

面白くて一気に読んだよ。面白かった。ただ、一つ二つ、気にかかるとこが。「『13歳のハローワーク』に代表されるような無責任な自己実現を促す職業教育が問題」である、というところと、危険なワーカホリックに陥るバイク便ライダーが「好きなことで死ぬ…

『ジェンダー学への道案内』(高橋準)

あたしは「ジェンダー入門書」を始めて読んだ。(学生向けに書かれたらしい)。 最後の4章、5章と読み進んでいき、異性愛中心主義の問題にコツンと突き当たる。しみじみとその根深さが胸に迫ってくる。 ジェンダーにおける問題の根深さについてとても分か…

『若者はなぜ3年で辞めるのか?』(城繁幸)

混乱して読み終わる。よくわからないんだよね・・。つまり、年功序列より成果主義がいいよ、って言いたいのかな?でもって、昨今の不景気で年功序列が破綻し、取り入れられた成果主義制度は単にコスト削減(年功型昇給の削減)に使われているだけで、権限、…

『日本とフランス 二つの民主主義』(薬師院仁志)(3)

メモ。「文化的多様性と同化主義」のはなし。 2005年の33回ユネスコ総会で「文化的多様性に関する協定」を最も強く支持したのはフランスだった。 採択に反対したのはアメリカとイスラエルだったということだ。フランスという国は実に筋金入りの平等主…

『日本とフランス 二つの民主主義』(薬師院仁志)(2)

夏休みも終わり。あーぁ。 内容を忘れないうちにメモ。しとかんば、とおもいつつ、時間がたっちゃた。アメリカ、フランス、日本の憲法を読み比べて、それぞれの国が「自由」「平等」のどちらに偏向が強いか、とゆうのはおもしろかった。 それと、「フランス…

『日本とフランス 二つの民主主義』(薬師院仁志)(1)

この本、教科書に使えばいいのにな。 国家が個人の幸福を実現するための手段でしかないのなら、愛国心など不要である。しかし、国民の間に社会的連帯を求めるのであれば、何らかの形の愛国心を前提とせざるを得ない。愛国心の重視自体は、特に右翼的な主張で…

『読む哲学事典』田島正樹(4)

そっかあ・・。絵を描くロボットには、文脈的な記憶を植え付ければいいのだ、と・・。その時代時代のセンスやら商業的流行りやら、もっと芸術的なロボットなら、神話とかもっと深い層の文化を・・。「意味は後から見いだされる」「後から現れる」という認識…

『読む哲学事典』田島正樹(3)

読み終わる。 「意味のイデア的実在世界」に捕らわれることなく「越境的な精神の自由」を確保するための様々な(わたしの)疑問にテキパキと答えながら、この本は進む。そして終章間近の「本質と時間」へと認識のアーチが立ち上がる。はずなのだが、ふと、思…

『読む哲学事典』(2)/女性のうつ

「一者と実在性」言語は構造主義言語学が明らかにしたように、対比と弁別特性の対称性を本質とするが、言語が表現する実在には、非存在との非対称性がある。ギリシャ人は、言語と存在のこの深淵を常に意識していた。(p39)「女性のうつ」のエントリに「・・…

「読む哲学事典」田島正樹

やっとこの「読む哲学事典」を読み始める。 面白い!すごく面白い! まだ読んでる途中だけど、 ああシヤワセ・・。(*´∀`*) ・ ・

『松本清張の現実と虚構』仲正昌樹

おもしろかった!一気に読んでしまった。メモ:ローティばりの清張。松本清張の歴史(=物語)観は、その根っこにすべてを相対化する視線と怜悧な計算がある。 実証主義的な歴史記述において、そもそもの史料が時の権力に汚染されているではないか、という。…

『ポスト・モダンの左旋回』仲正昌樹

『デリダの遺言』を読んだとき、どーして柄谷氏や高橋氏を批判するのかがよく理解できなかったが、この本をみっけた。・・つまり、93.4年ごろ?からの柄谷氏や高橋氏らの政治的言説に対して、ローティのようにプラグマティックにやっちゃうならいざしら…

「不安型ナショナリズムの時代」高原基彰

風邪を引いた。頭がぼーっとして重い。なんなのかな、なんか違和感が残る本。 著者がいう「下層労働者」、あたしは現在、そうだし(スーパーマーケット勤務)、過去でも、たとえ正社員であったとしてもあたしは下層労働者だった。著者がいうところの「社会の…

「夢の分析」川嵜克哲

すごおく面白い!*1・・ただ、たとえば、ラカンが「禁止が欲望を生み、ありもしないものを埋めようとする」みたいなことを言っていたとおもうのだけど、そのへんのりろーん的な言い方をおもいだすと、やっぱ、この本の面白さは、「物語」だからなんだな、と…

「生き延びるための思想」上野千鶴子

感動しました。*1「市民権が国民国家との双務的な権利義務関係だとしたら、その義務の一つに、兵役がある」と書く上野氏は、その非犯罪化されている公的暴力(軍隊)は「市民概念の男性的構築と密接に結びついている」という。もちろん、この男性的市民概念…

「憲法と平和を問いなおす」長谷部恭男

「え。どーして、こんな言葉(民主主義、多数決、立憲主義・・)から説明してゆくんだろ?」と不思議に思いながら読み始めた。*1 ところがそれが最後には実にクリアにまとめられてゆく。わーお。 あたしなりにまとめとくと、「立憲主義的憲法」は、「調整」…

「憲法と平和を問いなおす」長谷部恭男(2)

あしたは仕事だあ。いきたくねー。つうか、感想文のつづきをメモ。法(権力)の限界設定をこんだけ合理的につめていくと、そこに登場する(執行する)のは、「アイヒマンみたいな官僚」なんじゃないの?とおもうわけで、アーレントが古典のその自己責任的、…

『ピエール・リヴィエールの犯罪』/京都女児殺害(3)

この事件で、「幼い未熟な倫理観や価値観による欲動のコントロール」というような心的構造をイメージするとき、*1あたしは、フーコーの「これからは主体化の時代だ」ということばを思い出す。 それはつまり、支配的(絶対的)な「枠組み」が消えていくなかで…

『ピエール・リヴィエールの犯罪』/京都女児殺害(2)

「オブセッショナルな意識構造を生むのはなんなのだろう?」ってことを考えてみた。 規律型社会でひとは家庭、学校、会社と環境が変わるごとにゼロからやり直し、「すべての環境に共通する言語が存在したとしても、それは類比にもとづく言語なのである」と物…

『ピエール・リヴィエールの犯罪』/京都女児殺害

荻野容疑者のニュース記事*1を読んでいると、むかし読んだ『ピエール・リヴィエールの犯罪』*2という本を思い出す。ピエール・リヴィエールは18??年代に母親、姉、弟に斧かなんかで襲いかかり惨殺した。当時の判事は、彼が犯行に至ったいきさつを書かせ…

よく生きる/天皇制(3)

ビデオニュース*1で『なぜ女性・女系天皇は天皇制の根幹に関わる問題なのか』 というのをやっていた。 百地章氏はつまり「聖性としての天皇」という伝統が女系天皇になると憲法上、問題が生じるといってるんかな?でもって宮台氏は、国としての統一を「聖性…

「マルクスと息子たち/デリダの遺言(3)」

『マルクスと息子たち』を少しずつ読んでいるうち首が回らなくなった。ホントに右側の首筋が痛くて首がまわらない。(・・)(「約束」「許し」「歓待」「贈与」には)、「可能なものと不可能なもの」が同居する。どちらかに傾くということは、現状維持のシ…

「マルクスと息子たち/デリダの遺言(2)」

『デリダの遺言』*1で仲正昌樹氏がなぜ「生き生き」という言葉を使うのか、その肝心なところがあたしはわからなかった。そして、なぜ高橋氏、柄谷氏を批判しなければならないのか、あたしはわからなかった・・。 で、昨日、『マルクスと息子たち』という本を…

『デリダの遺言』(1)仲正昌樹

『デリダの遺言』という本を読んだ。 「現代思想に触れた者が逆説的に偏狭な世界観を唯一の真理として絶対視してしまってはいけないよ」ということを、仲正昌樹氏はweb等におけるサヨとウヨの水掛け論的硬直状態などをを引き合いにだしながら、二項対立的現…

『日本人の目玉』(3)

自己同一性が全体主義を産み出すと怖れるより、どのような認識も思い込みでしかないような言葉の仕組みを思い煩うより、それでもなお、人は敵を愛する能力があるということに驚く。イスラエルの入植地撤退騒動のドキュメンタリーで、入植地で頑張るイスラエ…

『日本人の目玉』(2)

はじめのほうは、精神分析的な考察でも読んでいるような気がして気軽に読読み飛ばしていたのだけど、いや結局、福田氏のこだわりは哲学的な存在とか認識とかのはじまりの問題だったというか、それはそうなってしまうのだろうなあと思いもするけど、肝心の(…

『日本人の目玉』(1)福田和也

おもしろかったとおもう。なんつうか戦争とか革命とか日常がぶっこわれたような時期を生きた、知っている偉人たちを通して、(いや、というより)、彼ら偉人たちが、人間存在の構造とか、認識の仕組みとか、・・・とかいうような「はじまりの力(のようなも…

「日本とドイツ 二つの戦後思想」仲正昌樹

いったい、日本とドイツの戦後処理は何がどう違うんだろ、と長いこと疑問に思っていたので、この本に飛びついた。本のおわりで仲正氏は次のように書いてはる。 日本の戦後思想史について「常識」として知られていることを、他の国と比較しながら相対化すると…

『英語を学べばバカになる』薬師院仁志

−グローバル思考という妄想−*1現在、アメリカの政治経済を司る自由主義というものが、帝国主義−アメリカはすでにヘゲモニーを失っており、群雄割拠的に民族や国家の争いが目立っている状況は、「帝国」と「帝国主義」は別だ、といった思想家の言葉を思い出す…